2021武田審査委員長講評

国産紅茶グランプリ2021 講評
審査委員長 武田善行

国産紅茶グランプリ2021は新型コロナウイルス感染症による緊急事態宣言に伴い本年度も昨年同様、予選と本選を専門家審査員(11名)により同日に行うという審査方式で10月9日に実施しました。

また、例年一般審査員の評価を加えた総合点でグランプリ賞以下の各賞を決定していましたが新型コロナの感染状況を鑑み、一般審査員を集めての審査は困難と判断し、10月9日の専門家審査員の2回にわたる審査をもって各賞を決定しました。

このため、昨年同様に一般審査員を募集し、チャレンジ部門とプロダクツ部門の入賞茶をお送りして自宅で審査していただき、評価の高かったお茶については「一般審査員特別賞」を授与することに致しました。全国から参加頂きました一般審査員の皆様には感謝申し上げます。

ここにグランプリ賞を始め栄誉ある賞を受賞されました出品者の皆様にお祝い申し上げます。

 

本年度の審査概要、特徴等については以下の通りです。

1.本年は17都府県から昨年より32点多い120点の出品がありました。内訳はプロダクツ部門が16都府県より昨年を上回る63点の出品がありました。また、チャレンジ部門では、13都府県から昨年よりも19点多い57点が出品されました。

2.出品者数はプロダクツ部門が昨年よりも12人多い31、チャレンジ部門は昨年よりも10人多い32で、重複を除いた出品者数は昨年よりも21人多い43人で昨年に比べてほぼ倍増しました。

3.出品茶の茶種別内訳は、プロダクツ部門ではアッサム種系が32点(3品種)、緑茶系が23点(10品種)、ブレンド茶が9点でした。品種では、アッサム種系の「べにふうき」が最多の44%(28点)を占めました。

チャレンジ部門では、アッサム種系が22点(3品種)、緑茶系が30点(17品種)、ブレンド茶が5点でした。品種ではアッサム種系の「べにふうき」が最多の28%(16点)を占めました

4.予選を通過した20点の内訳は、アッサム種系が14点、日本種系が5点、両種のブレンドが1点で昨年と全く同じ比率となりました。

5.出品茶の摘採期は春茶が50点、夏茶が67点、その他が3点でした。

6.本年は暖冬で3月の気温が高く、茶芽の萌芽が全国的に早まりましたが、4月は一転低温傾向となり新芽の成長が停滞するなど紅茶生産への影響が注目されました。

出品茶の品質はここ数年格段によくなったことを今年も実感しました。特に、本年度は全体的な品質の底上げが感じられ、多くの審査員に悪いと評価された出品茶がほとんどありませんでした。反面、春先の気象要因が関係しているかどうか定かではありませんが例年に比べて全体的に香りが乏しく感じました。

7.本年度は出品茶の傾向にも大きな変化が認められました。これまではアッサム種系の「べにふうき」の出品が多数を占めましたが、本年度はチャレンジ部門を見てもお分かりのように緑茶系統の品種が17品種も出品されており、多くの方々が新しい紅茶の可能性にチャレンジしている様子が感じられました。

8.本年度もコロナ禍で再三にわたり緊急事態宣言が出されるなど制約の多い開催となりましたが出品点数は過去最高を記録しました。これは紅茶生産者の新しい時代への変化の意欲とこの一年抑えられていた生産者の情熱を感じました。

来年は是非対面で全国の紅茶ファンとともににぎやかに国産紅茶フェスティバルが開催できることを願っています。

 

最後に、開催が危ぶまれました本年の国産紅茶グランプリでしたが、最大限の安全性を講じつつ無事実施することが出来ました。審査委員を代表しまして地元尾張旭市、生産者、全国の国産紅茶ファンの皆さんに謝意を表すと同時に事務局の皆様にも感謝申し上げます。

 

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